GUIDE — 指標の見方
指標の見方と計算式
企業分析ページで使っているすべての計算値について、何を表すか、どう計算するか、どのくらいが目安かをまとめました。各社のページでは、この式にその会社の実数を当てはめた計算例を数値のすぐ下に表示しています。
成長性・収益性
- 売上高の年平均成長率(CAGR)
(最終期の売上高 ÷ 最初の期の売上高)^(1 ÷ 年数)− 1
売上が1年あたり平均何%ずつ伸びたか。途中の凸凹をならして比較できます。
目安5%以上なら成長企業、マイナスなら縮小傾向の目安。
- 営業利益率
営業利益 ÷ 売上高 × 100
本業で売上100円あたり何円の利益が残るか。価格決定力やコスト構造が表れます。
目安業種差が大きく、製造業で5〜10%、ソフトウェアでは20%超も。同業比較が基本です。
- 純利益率
親会社株主に帰属する当期純利益 ÷ 売上高 × 100
特別損益や税金を差し引いた最終的な利益の割合。
目安営業利益率との差が大きい年は、一時的な損益がないか確認します。
安全性・キャッシュフロー
- 自己資本比率
自己資本 ÷ 総資産 × 100(有価証券報告書の記載値)
総資産のうち返済不要の自己資本の割合。
目安50%以上なら安定的。不動産・リース業などは低くなりやすい。
- フリーキャッシュフロー(FCF)
営業活動によるキャッシュフロー + 投資活動によるキャッシュフロー
本業で稼いだ現金から設備投資などを差し引いた「自由に使えるお金」。配当や借入返済の原資になります。
目安継続的にプラスが望ましい。大型投資の年のマイナスは内容次第。
資本効率(ROIC と WACC)
- ROE(自己資本利益率)
当期純利益 ÷ 自己資本(期首・期末平均)× 100(有価証券報告書の記載値)
株主が出したお金でどれだけ利益を上げたか。
目安8%以上が一つの目安(伊藤レポート)。
- ROIC(投下資本利益率)
営業利益 ×(1 − 実効税率)÷ 投下資本 × 100 ※投下資本 = 有利子負債 + 純資産(期首・期末平均)
事業に投じたお金(株主のお金+借入)に対する、税引後の本業利益の利回り。
目安WACCを上回っているかが最重要。
- WACC(加重平均資本コスト)
株主資本コスト × E/(D+E) + 負債コスト ×(1 − 実効税率)× D/(D+E)
株主と債権者が求めるリターンを、資本構成の比率で加重平均したもの。企業にとっての「お金の調達コスト」です。
目安日本企業では5〜8%程度が多い。
- 株主資本コスト(CAPM)
リスクフリーレート + β × 市場リスクプレミアム
株主が期待するリターン。当サイトの初期値はリスクフリーレート2.9%(新発10年国債利回り、2026-09時点)、β=1、市場リスクプレミアム6%です。
目安各社ページで前提を変えて試せます。
- 株主資本の時価(E)の近似
PER(期末株価 ÷ EPS)× 当期純利益 ≒ 期末株価 × 発行済株式数
WACCの重み付けには株主資本の「時価」を使います。株価データを持たないため、有報記載のPERと純利益から近似しています。
目安PERがない年(赤字など)は簿価の純資産で代用します。
- 負債コスト
支払利息 ÷ 有利子負債 × 100(0〜10%に制限。借入がない場合はリスクフリーレート)
借入に実際に払っている利率。
目安借入がほとんどない会社はリスクフリーレートで代用します。
- ROIC − WACC スプレッド
ROIC − WACC(プラスなら資本コストを上回る価値を生んでいる)
ROICとWACCの差。プラスが続けば企業価値を生み、マイナスが続けば価値を毀損しているとみなされます。
目安プラスの幅と継続性を見ます。
利益の質
- 営業CF÷純利益(キャッシュ転換率)
営業活動によるキャッシュフロー ÷ 当期純利益
利益がどれだけ現金収入を伴っているか。
目安1倍以上が健全。1倍を下回る年が続く場合は要注意。
- アクルーアル比率
(当期純利益 − 営業CF)÷ 総資産(期首・期末平均)× 100
現金を伴わない会計上の利益(見積もり部分)の大きさ。高いほど翌期以降に利益が目減りしやすいとされます。
目安5%超で注意。マイナスは現金の裏付けが厚い状態。
- 本業比率
営業利益 ÷ 経常利益 × 100
経常利益のうち本業(営業利益)が占める割合。
目安70%以上なら本業中心。低い場合は配当金・為替差益・持分法利益などへの依存を確認。
- 売上債権回転日数
売上債権(期末)÷ 売上高 × 365
売上を現金で回収するまでの平均日数。
目安急に伸びた場合は回収条件の悪化や押し込み販売に注意。
- 棚卸資産回転日数
棚卸資産(期末)÷ 売上高 × 365
在庫を何日分抱えているか。
目安売上が伸びないのに日数が伸びる場合は在庫の積み上がりに注意。
データの取得方法
売上高・利益・総資産・純資産・キャッシュフロー・EPS・自己資本比率・ROE・PERなどは、有価証券報告書の「主要な経営指標等の推移」から取得しています。営業利益・有利子負債・支払利息・特別損益・売上債権・棚卸資産は連結財務諸表の本表から取得しています(連結財務諸表がない会社は単体)。有利子負債は、短期借入金・コマーシャルペーパー・1年内返済予定の長期借入金・社債・長期借入金などの合計で、リース債務は含めていません。